僕とカメラ

 

 僕が最初に出会ったカメラは「オリンパス PEN−EES」だ。幼少の 頃、親が使っていたカメラである。レンズの周囲に初代ウルトラマンの眼のようなブツブツがある。これがセレン光電池で露出を計る役割をする。バカチョン・ カメラのはしりだ。ハーフサイズのため大伸ばしには向かない。 
 ピントは一応、近接、中間、遠景の調節ができたが、メートルが表示されている訳でなく、目測で合わせるものだった。シャッターは1/30秒と1/250 秒が自動で切り替わる機械式2速シャッターで、今では当たり前のプログラムEEを初めて実用化したものだった。
 中学生になる頃にはこのカメラを勝手に持ち出して写真を撮りに行った。高校時代には自由研究の写真もこのカメラで撮った。僕の写真のルーツはPEN−EESにある。

  大学進学とともに家を出た僕はしばらくカメラを手にする事が無かったが、ある日友人が質流れの「キャノン F−1」を発見してきた。大枚はたいて購入した。サンパックのグリップストロボ付きで8万円だったと記憶している。
 オートカメラが普及する中、たまたま入手したフルマニュアル機。考え様によっては絞り優先にもシャッタースピード優先にもできるのだ。
 露出計は追針式で見やすかったし、部分測光というのも使い勝手が良かった。機械シャッターなので電池がなくても写真が撮れた。僕はこの重たいカメラでカメラの基本を学んだと思っている。
 とにかく手に良くなじんだカメラだった。
  社会人になり、セカンドカメラが欲しくなった。中古の「F−1」が上等品だったので、「セカンドカメラも中古で十分。」と中古カメラを探し回って購入した 「キャノン AE−1」。インターネットって何?っていう時代なのでタウンページや雑誌の広告が情報元だった。
 友人はシャッタースピード優先より絞り優先の方がいいと言っていたが、当時の僕にはあまりよく分からなかった。その後写真クラブに入会して本格的に写真と向かい合い、「絞り」に悩まされる事になる。
 ただモノクロやリバーサルにも手を出すようになり、フィルム交換を考えるとカメラが2台あるのは重宝した。
  オートフォーカスが主流になり、キャノンがFDレンズの生産を終了してしまった。「F−1」からキャノンにこだわってきたが、ニコンならMFでもAFでも 同じレンズが使用可能だ。しっくりなじんだ「F−1」を手放すのは実に惜しかったが、悩んだ末に下取りに出して「ニコン New FM2」を購入した。ど うしてもマニュアル機が欲しかったのだ。
 撮影会に行くと周りの人はみなファインダーを覗いたままで写真を撮っているが、僕だけは1回シャッターを切る度に顔を上げて巻き上げレバーを操作するのであった。
 友人から安くで売ってもらった「ニコン F501」。ニコンAFの初期のカメラである。ピントが甘かったり、レンズの駆動が遅かったりと少々難はあったかもしれないが、嫁さんにも使える一眼レフだったので旅行に活躍したカメラだった。
 マニュアルの使い勝手が今までと同じようにできる点が僕には良かった。 
中古カメラのショーケースを見て衝動買いした「ゼンザブロニカ SQ」。SQは正方形を意味するスクエア“square”からきている。645と言われるサイズで、フィルム上に645mm×645mmの正方形に画像が写る。
 フィルムのサイズが大きいこのカメラは画質が良いと思って買ったのだ。 しかしフィルムのセットが面倒な事、露出計が付いていない事、持ち運びに不便な事などの理由であまり活躍することもなく押し入れで眠っている…。
 我が家に初めてやってきたデジタルカメラ「オリンパス C−3030 ZOOM」子供ができたのをきっかけに買ったカメラである。330万画素は当時高画質だった。
 家庭に仕事に活躍してくれた。単3乾電池を使用できる機動力もこのカメラの魅力だった。使用するメモリーカードはスマートメディアだった。
 ホームページを立ち上げた頃の写真はこのカメラで撮影したものだ。
  デジタルで作品を撮るにあたり、330万画素では大伸ばしに限界があった。画素数の高いカメラが必要になってきた。一眼レフかコンパクトか迷ったが、オリ ンパスの色が気に入っていたのと、ミラーを横にすることでペンタプリズムの出っ張りが無い「オリンパス E−300」に決めた。
 800万画素なので少し画質的には劣るが、出っ張りが無くカバンにも違和感無くおさまるこのカメラは僕のお気に入りであった。ルックスも個性的で、マイナー思考の僕にぴったりだった。
 「E−300」は数年の間メインカメラとして使っていたが、ある日ピントが合わなくなってしまった。どうもボディー側がレンズを認識していないようだ。 修理に出すか、買い換えるかの選択に迫られて電気屋巡りをしていた時に見つけたのがこの「ニコン D5000」である。
 Wズームキットが6万円を切る値段で出ていたのだ。本当は「E−300」のレンズが使える「PEN」を考えていたのだが、値段と液晶のアングルが変えられる機構に惹かれて、またゴツい一眼を購入してしまった…。
 今はこれを説明書を見ながら使っている次第である。